ベーシックレッスン

手軽に楽しめる塗り絵をはじめ、バレットジャーナルや手紙に最適なイラスト、上級者向けの本格的な風景画まで、IROJITENを使いこなすためのテクニック集です。プロのイラストレーターや画家の方々の制作過程とテクニックを、動画とワンポイント解説で紹介します。
Basic lesson

色鉛筆を使いこなすための基本的なテクニック

色鉛筆でイラストや絵を描くコツがわかる、基本的な使い方のテクニックを紹介します。まずは基礎となる持ち方や削り方、ぬり方を確認しましょう。2色の重ねぬりで色を作ることや、グラデーションの作り方といった簡単なテクニックを身につけるだけで、表現の幅が大きく広がります。

色鉛筆の持ち方

下の写真のように色鉛筆と紙との角度を変えることで、細部も広い面積も 描きやすくなり、 きれいに仕上げることができます。どの持ち方の場合も小指側の側面をしっかり机の上(の紙)に付けましょう。

普通の持ち方

ふだん字を書くときのような、いちばん慣れた持ち方。いつもより少し力を抜いてリラックスして持ちましょう。楷書で漢字を書くのではなくアルファベットの筆記体を書く感覚です。

立てて持つ

尖った芯先を使う持ち方です。小さな部分や細い線、形のヘリをきれいに作るときなどにこのように色鉛筆を立てて持ちましょう。

寝かせて持つ

紙と色鉛筆の角度をなるべく小さくして、芯の側面を使ってぬるための持ち方です。ぬり跡がつきにくくなりますから、どうしてもぬり跡が残ってしまうときや、広い面積を均一にぬりたいときは、ぜひこの持ち方でぬってみましょう。

色鉛筆の削り方

芯先は尖らせましょう。写真はカッターナイフで削ったものと、削り器を使ったものです。色鉛筆は芯先がすぐに減りますから、こまめに削るようにしましょう。

ぬり方の基本 - 力を抜いて均一に

力を入れて強くぬると疲れますし、ぬり跡が必ず残ります。ぬり跡をなくすために更に力を込めてぬるという悪循環に陥らないためにも、微妙な色合いを重ねぬりで作っていくためにも、まず力を抜いて均一な濃さになるようにしましょう。

力を抜くには

手の小指側の側面を机の上(の紙)にしっかりと押し付け、色鉛筆を持つ3本の指が軽く動くようにします。小指側の側面が浮いていると、指先から芯先に力が入ります。

均一にぬるには

1. ひとぬりのぬり幅を大きくしないようにします。ぬり幅が大きいとぬり跡が残り、均ーにきれいにぬれません。
2. いろいろな方向にぬりましょう。その際、手の位置を変えるのではなく紙を動かすと楽です。

  • 丸くぬってみよう 中心あたりから軽くぬり始めて、だんだん周囲にぬり広げるようにしましょう。
  • 四角くぬってみよう ぬりおわりが四角形になればよいので、やはり中心あたりから軽くぬりましょう。

ぬり跡が残ってしまう場合は色鉛筆を寝かせてぬりましょう。

1色で濃さを変えてみよう

水彩画では水を加減することで簡単にできますが、色鉛筆ではどうでしょうか? 均一なうすぬりができること、これが基本になります。力を入れて濃くしていくのではありません。手加減はいつも同じです。うすぬりを繰り返して濃くしていきます。グラデーションを作るときにも重要なことです。

重ねぬりで色を作ろう

自然の色は無限です。持っていない色は重ねぬりで作りましょう。ここでは2色ですが、3色、4色…と重ねて色を作っていくこともふつうによくあります。例にならって実際にやってみましょう。重ねることで色が変わっていくことを実感できると思います。これを参考に、自然のさまざまな色にチャレンジしてみましょう。向かって左側の色を先にぬっています。

  • D-12 V-1
  • EX-3 DL-5
  • V-9 EX-7
  • D-1 EX-1
  • D-18 D-6
  • P-9 P-2
  • EX-1 V-2
  • EX-4 D-8
  • DL-8 EX-10
  • V-2 EX-2
  • EX-5 V-8
  • LG-1 LG-2
  • EX-2 V-3
  • D-9 V-9
  • EX-9 EX-8

きれいに形を作って均一にぬろう

形からはみ出さないようにぬるにはまず輪郭線を描かなければと思っていませんか? 輪郭線はそのまま残ってしまい、きれいに仕上げることはできません。輪郭線を描くのはやめましょう。

2種類のぬり方をしてみよう
A: 往復 色鉛筆(の芯)を紙から離さずにぬり続けるぬり方です。

B:一方向 ひとぬりごとに色鉛筆(の芯)を紙から離します。こちらのほうが軽くぬることができます。
はみ出さないためには

Bのぬり方で形のヘリをきれいに作り、Aのぬり方で内側をぬり埋めるようにしてみましょう。

慎重にいちばん外側のヘリを描いたら、そのまま少し内側にずらしていき、再びヘリに戻ったところで少し延長して形をつないでいきます。これを繰り返していきます。前にぬったところとダブるようにしてつないでいくのがコツ。

1周するとこのようにひとまわり小さい形が残ります。
ぬり残したところをAのぬり方で均一になるようぬっていきます。
同じ図柄で2通りのぬり方をしてみよう
形の内側をぬる
形をきれいに作り均一にぬって描いたクローバー。細い茎はBのぬり方だけです。
形の外側をぬる
形の内側にはみ出さないようにして外側をぬることでできた図柄。ぬり残して形を作るのも素敵ですし、楽しいです。

グラデーションを作ってみよう

立体感を出したり、変化していく色を紙の上に再現したりするには、きれいなグラデーションを作ることが必要になってきます。この場合も力が入りすぎていると上手くできません。

1 色のグラデーション(左から右へだんだんうすくしていく)
  • D-18
  • V-1
  • DL-8
力を徐々に抜いていくのではなく、重ねる量(回数)を減らしていけばよいわけです。力は抜きましょう。
2 色重ねて作るグラデーション
  • V-9
  • EX-7
  • V-9+EX-7
2色でできた新しい色のグラデーションとなるように、濃さをそろえて重ねましょう。
明暗を作るためのグラデーション

暗くする色を先にぬるのがコツです。基本的な色で作ってみましょう。

  • EX-1

暗い部分を作る

  • D-12
  • EX-1
  • D-12+EX-1

まず暗くしたい部分にD-12でグラデーションを作っておき、そこにEX-1を重ねます。

さらに暗くするとき

  • D-12
  • D-9
  • D-12
    +D-9
  • EX-1
  • D-12+D-9
    +EX-1

暗いところをもっと暗くしたい場合は、その部分にD-9を重ねておいてからEX-1を重ねます。

  • V-2

暗い部分を作る

  • D-1
  • V-2
  • D-1+V-2

さらに暗くするとき

  • D-1
  • EX-8
  • D-1
    +EX-8
  • V-2
  • D-1+EX-8
    +V-2
  • V-3

暗い部分を作る

  • D-14
  • V-3
  • D-14+V-3

さらに暗くするとき

  • D-14
  • LG-2
  • D-14
    +LG-2
  • V-3
  • D-14+LG-2
    +V-3
  • V-8

暗い部分を作る

  • D-20
  • V-8
  • D-20+V-8

さらに暗くするとき

  • D-20
  • EX-4
  • D-20
    +EX-4
  • V-8
  • D-20+EX-4
    +V-8
  • D-17

暗い部分を作る

  • EX-3
  • D-17
  • EX-3+D-17

さらに暗くするとき

  • EX-3
  • EX-4
  • EX-3
    +EX-4
  • D-17
  • EX-3+EX-4
    +D-17

Basic lesson 監修

色鉛筆画家 河合ひとみ

東京外国語大学ロシヤ語学科卒。学生時代から独学で色鉛筆画を描き始める。現在、カルチャーセンター等で色鉛筆画の講座を多数担当。色鉛筆に関する著書も多く、翻訳されて海外でも販売されている。
http://www.pencil-work.com/