親子で全く違う毛皮!
タテゴトアザラシ
基本情報
分 類 | 哺乳綱・食肉目・アザラシ科 |
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大きさ | 170〜190cm |
重さ(体重) | 120〜140kg |
分 布 |
北極海、北大西洋、ハドソン湾、 パフィン島周辺 |
寿 命 |
10~15年(オス)、 15~20年(メス) |
レッドリスト カテゴリー |
低懸念(LC) |
タテゴトアザラシの分布図
北極海、北大西洋、ハドソン湾、パフィン島周辺
ハローネイチャーのどうぶつたちの
レッドリストカテゴリー
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DD データ不足 DATA DEFICIENT
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LC 低懸念 LEAST CONCERN
ハンドウイルカ
タテゴト
アザラシオジロジカ
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NT 準絶滅危惧 NEAR THREATENED
コウテイペンギン
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VU 危急 VULNERABLE
コアラ
チーター
ライオン
ホッキョク
グマ -
EN 危機 ENDANGERED
レッサーパンダ
ラッコ
アフリカゾウ
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CR 深刻な危機 CRITICALLY ENDANGERED
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EW 野生絶滅 EXTINCT IN THE WILD
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EX 絶滅 EXTINCT
レッドリストは、絶滅のおそれのある生物種リストです。
IUCN(国際自然保護連合)は、地球規模での生息状況等をもとに独自の基準で評価しています。
タテゴトアザラシの
とくちょう
01 体のとくちょう・習性・性格のはなし
親子で全く違う毛皮!
タテゴトアザラシ
タテゴトアザラシの主食は魚類、甲殻類、貝類で夏の間は北極海で生活をしています。
生まれてすぐのタテゴトアザラシは黄色い毛をしていますが、生後3日くらいで全身が真っ白な毛に変わります。子アザラシの期間だけに見られる体毛色(幼体色)があり、氷上や海氷で生まれる子アザラシは真っ白な毛並みを身にまといお母さんアザラシとは全く違う毛皮となります。これは白一色の銀世界である周囲環境と同化して、保護色とするためであり、シャチやホッキョクグマから身を守るためだと考えられています。
02 誕生・子育て、家族のはなし
子育てはスピード勝負
タテゴトアザラシは、毎年2月から3月に出産、子育てのために流氷にのってマドレーヌ諸島にやってきます。タテゴトアザラシのお母さんは流氷の上で1頭の赤ちゃんタテゴトアザラシを出産します。生まれたばかりの赤ちゃんは体長が約90センチ、体重は約10㎏くらいで、目もよく見えないため匂いでお母さんを探します。
北西大西洋に生息するタテゴトアザラシは基本的に、水中ではなく陸上または氷上で子育てや授乳をします。
その授乳期間はたった2週間しかありません。53%にもなる高脂肪の母乳を子どもに与え、その2週間で子アザラシの体重は約10キログラムから4倍の約40キログラムにまで増えます。シャチやホッキョクグマなどの外敵に襲われるのを防ぐため短期間で可能な限り大きく成長させなければなりません。また生まれたばかりの子アザラシは強いニオイを発しているため、その臭いが原因となり外敵に狙われやすく、親子で一緒にいると両方襲われて死んでしまう可能性が高くなるため、早めに離れて、どちらかだけでも生き残る確率を上げようという作戦なのでしょう。
母親は早く離乳させる代わりに、高脂肪の母乳によって、皮下脂肪を一気に増やす作戦を取ります。これが、短い期間しか一緒にいられない、母から子への最大限の贈り物なのかもしれません。
みんな知ってる?
どうぶつマメ知識
水族館でも人気のアザラシとアシカは同じ食肉目のグループに入っていますが、アザラシはアザラシ科、アシカはアシカ科になります。どちらもかわいらしい姿が似ていますが似ているようで全く別の動物です。
最も簡単な見分け方はアザラシには外耳と呼ばれる耳たぶがないのですが、アシカには耳たぶがあります。またアザラシはアシカより前足が小さいですがするどいツメを持っています。
泳ぐ姿もそれぞれですが、海の中で泳ぐのはアザラシのほうが得意です。
ちなみにアザラシは約2時間近くも潜水することができます。アザラシは筋肉の中に酸素を溜め込んでおく能力があり、それによって長く深い潜水ができると考えられています。
文・監修
国立科学博物館 動物研究部 研究主幹 田島 木綿子【海棲哺乳類(イルカ、クジラ類)】