ザ・ストイック!
コウテイペンギン
基本情報
分 類 | 鳥綱・ペンギン目・ペンギン科 |
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大きさ | 112〜115cm |
重さ(体重) | 19〜46kg |
分 布 | 南極大陸周辺 |
寿 命 | 20〜30年 |
レッドリスト カテゴリー |
準絶滅危惧(NT) |
コウテイペンギンの分布図
南極大陸周辺
ハローネイチャーのどうぶつたちの
レッドリストカテゴリー
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DD データ不足 DATA DEFICIENT
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LC 低懸念 LEAST CONCERN
ハンドウイルカ
タテゴト
アザラシオジロジカ
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NT 準絶滅危惧 NEAR THREATENED
コウテイペンギン
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VU 危急 VULNERABLE
コアラ
チーター
ライオン
ホッキョク
グマ -
EN 危機 ENDANGERED
レッサーパンダ
ラッコ
アフリカゾウ
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CR 深刻な危機 CRITICALLY ENDANGERED
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EW 野生絶滅 EXTINCT IN THE WILD
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EX 絶滅 EXTINCT
レッドリストは、絶滅のおそれのある生物種リストです。
IUCN(国際自然保護連合)は、地球規模での生息状況等をもとに独自の基準で評価しています。
コウテイペンギンの
とくちょう
01 体のとくちょう・習性・性格のはなし
ザ・ストイック!
コウテイペンギン
世界に18種いるペンギンの中で最も体が大きいことからこの名がつきました。11,000種にもなる鳥の中で潜水能力が最も高く、水深500m以上、20分以上も海に潜ることができます。潜水時間が長いのは、海の底にいる魚を探すためですが、水面近くにいる天敵との遭遇回数を減らすことにもなります。そして繁殖のための安全な陸地として南極大陸を選びました。他のペンギンも一部は南極大陸で繁殖しますが、彼らは南極半島や海の近くで夏に繁殖し、ルッカリーと呼ばれる集団繁殖地では捕食者のオオトウゾクカモメやサヤハシチドリに卵やヒナを狙われます。対して、コウテイペンギンは海岸から50〜100kmも離れた内陸部で冬に繁殖します。
ただ、そこでは捕食者がいない代わりに、時にはブリザード(地吹雪)が吹き荒れマイナス60度にもなる極寒に見舞われる、とても厳しい環境です。
02 誕生・子育て、家族のはなし
コウテイペンギンは、
世界一過酷な子育て!
繁殖期の始まりは秋です。夏の間にたっぷりと食べて脂肪を蓄えたコウテイペンギンは海から上がって50km以上も氷の上を歩き、時には腹ばいになって滑りながら集団で繁殖地を目指します。繁殖地でカップルになり、1か月以上もかけて絆を深めた後、ようやく卵を産み、メスは海への帰路につきます。メスから卵を受け取ったオスは足の上に卵を乗せたままお腹の肉で卵を温めます。コウテイペンギンは巣を作らない数少ない鳥なのです。南極の真冬にあたる8月まで、ブリザード(地吹雪)に見舞われつつもオス同士身を寄せ合って温め合いながら約65日間も絶食状態で卵を抱き続けます。孵化する頃にようやくメスが戻ってヒナに餌を与え、オスはようやく海へ餌を食べに向かうことができますが、その頃には体重は6割に減り、絶食期間は全体で120日にも及びます。白いゴーグルのようなヒナの模様はペンギン類で唯一のものですが、世界一過酷な子育てをするオスにはとりわけ可愛く見えることでしょう。
みんな知ってる?
どうぶつマメ知識
コウテイペンギンは何千キロも遠くまで泳いでも海から陸に上がるときには出発点に戻ります。鳥類ならではの方向感覚の鋭さですね! また短い足でよちよち歩く印象がありますが、実は!足は見えているより長いです。 寒い地域に生息しているため、熱を逃がさないように体が丸い形に近付いてきました。その際に、末端は短い方が熱を逃がしにくいため、「ふしょ骨」(人間でいうとかかとから足の甲にかけての部分の長さ)が短くなったそうです。ふしょ骨から上の部分は体内に隠れている事が多く、ペンギンの足として見えているのは、ふしょ骨からつま先までの部分でしかありません。そのため、短い足と誤解されてしまっています。
文・監修
国立科学博物館 動物研究部 研究主幹 西海 功(専門分野:鳥類)