トンボ鉛筆100年史 page 61/98
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トンボ鉛筆100年史
フィールドワーカーⅡ待った修正具」だったからだ。トンボ鉛筆は廃番会議を続けて商品数を絞る一方、この修正テープを戦略商品に選び、資源を集中した。1992年3月、横引き修正テープ「MONOホワイトテープYK」を発売する。“横引き”の革新性は、国内のみならず、海外市場でも絶賛され、予想をはるかに超える成長を果たす。その後、タイ工場での内製化も軌道に乗り、改良と原価低減が重ねられた修正テープは、世界を舞台に新たな市場を拓いていった。この間、専門メーカーの(株)シード、ユニオンケミカー(株)、フジコピアン(株)ほかから多大な支援と協力をいただいている。文具に環境の波──「木物語」誕生1992年、使用できなかった木材をリサイクルしたスラットと、リサイクルした黒鉛でつくった鉛筆「木物語(一般事務用)」「木ものがたり(学習用)」を発売する。国内で初めて「エコマーク商品」(1989年制定)の認定を受けた鉛筆となった。その後、リサイクル鉛筆は新たな定番鉛筆となっていく。トンボ鉛筆の「地球環境への取り組み」は、環境保護意識の高まりを背景として1990年代早々に始まった。1980年代の終わりに紙・文具・事務機の総合商社、(株)レイメイ藤井の藤井輝彰社長から「環境はこれから重大なテーマになっていきます」とアドバイスされたことも、いち早い取り組みにつながった。1993年、「木物語」「木ものがたり」は、森林資源の有効活用という環境対応が認められ、「日経流通新聞賞」を受賞する。「消えいろピット」、発売スティックのり「ピット」の誕生から22年が経った1993年、塗って青色、貼ると透明になる新製品、「消えいろピット」を発売する。これは、塗り残しや塗りムラ、塗り過ぎ、はみ出しなどを防げるスティックのりが求められているとのユーザー調査から生まれた改良品だった。色が消えるのは、指示薬の作用と同じで、のりに練り込まれた試薬が、紙に含まれる水分や空気中の炭酸ガスによって中和されるため。「消えいろピット」はスティックのりの主力商品に成長する。このようにしてマーケティング本部は優位商品の開発と育成に集中する。そして商品の優位は、営業組織を提案型に変えていくのだった。消えいろピットMONOホワイトテープYN木物語61トンボ鉛筆100年史