トンボ鉛筆100年史 page 53/98

トンボ鉛筆100年史

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トンボ鉛筆100年史

アメリカントンボ(1983年当時・右)アメリカントンボの設立筆記具にして筆記具の枠を超えた「ZOOM」American Tombow Inc.がロサンゼルス郊外のウエストレイクビレッジに設立されたのは、1983年だった。販社は苦戦を強いられる。唯一、米国では想像もつかない高品質が評価され、アニメやアートの世界で「MONO100」の活路を見いだしたのが成果だった。1990(平成2)年に就任した米国人社長は、翌年、アトランタへの移転を決める。それからまもなく、修正テープ「MONOホワイトテープ」が登場し、快進撃が始まった。メガ・オフィスサプライヤーのOffice Depot、Staples、Office Maxに口座を設け、ビジネスは拡大していったのである。海外進出計画において学んだこと。それは、「優位商品」をつくるため、開発に資源を集中すること。それが、グローバル化への近道であるということだった。日本メーカーが海外進出で後塵を拝した理由は、技術開発に遅れがあったからにほかならない。1986年、「労働筆記から創造筆記」とのコンセプトがまとまった。オフィスオートメーション(OA)の普及で、あて名を書く、請求書を書くといった労働型筆記が減少し、筆記はより創造的な方向に向かう──その創造型筆記具のシンボルが「ZOOM」だ。Material of Original Zoneのイニシャルの合成語である。第一弾は、「ZOOM 606sh」。ボディは世界一薄い2.7ミリの平面形をした、カード型シャープペンシルである。第二弾は、「ZOOM 505bw“HAVANNA”」。ボディの太さが直径13.8ミリという極太軸の水性ボールペンである。奇抜な造形と丁寧な造り込みは、筆記具にして筆記具の枠を超え、デザイン感度の高いユーザー、ショップ、メディアへと受け入れられていく。「ZOOM」シリーズは以降、数々の国際デザイン賞を受賞。そして、「Tombow Design Collection」(2003年)へと発展する。ロールペンZOOMシリーズ53トンボ鉛筆100年史